池田含香堂


創業170余年になる日本で唯一の奈良団扇専門店。竹骨や紙の色染め等の材料や道具を含め、団扇作り全13の工程を家内工業により手作りで仕上げる。骨組みが一般的な団扇の倍以上の骨数があるため、よくしなり良い風をおこすのが特徴。小学校等での出前授業、工芸イベントへの参加、団扇づくり体験など、奈良団扇の魅力を広める活動にも取り組む。

「いいもの」として未来につないでいきたい

奈良団扇の新しい魅力に取り組む

 奈良団扇の図柄は約120種類ほどあります。型紙に従って彫りますが、仕上がりは職人ごとに少しずつ異なり、団扇の表情が変わります。また、実用性も高いのが奈良団扇の魅力で、骨数が60~70本と、一般的な団扇の2倍はあるため竹がよくしなることから、透かし彫りが施されていてもしっかりと風を起こすことができます。
 しかし、最近では、プラスチック製の団扇が無料で配られたり、手持ち扇風機が利用されたりと奈良団扇を取り巻く環境は厳しくなっています。本来であれば職人として団扇作りだけに専念したいのですが、作ったら売れるという時代ではなくなっているので、認知度を上げるためにも、体験教室の開催や各種イベントでの講演、毎年11月には新作を作り、皆様の日常に奈良団扇を使っていただけるよう、奈良団扇の魅力を伝えていけるよう努めています。

自然乾燥の様子
裁断
繊細に彫られた奈良団扇

未来を担う子どもたちへ、開かれた場を

 私が幼い頃は、工房が子どもたちの「遊び場」であり、生活の一部でした。親が商売をしている同級生も多く、モノづくりと触れ合う環境が自然とありました。しかし、最近では店をたたむ方もおられ、ものづくりと触れ合う機会が減って生きています。モノづくりという仕事は、見て覚える・聞いて覚えるのが一番の近道。知らず知らずのうちに、私も遊びながら覚えていたと感じます。
 モノづくりの原点は、職人の仕事が「かっこいい」「やってみたい」という憧れから、実際に触れてみることややってみることでおもしろさなどを体験できると、将来の職業の選択肢に繋がっていくのではと考えます。また、私が小学生の頃は、奈良団扇はみんな知っているものと思っていましたが、中学、高校に進むにつれ、奈良団扇を知らない同級生がほとんどで、奈良団扇をもっと知ってもらいたいと思うようになりました。そのことから、皆様にモノづくりの楽しさ、魅力を知っていただきたいと、小学生への出前授業や団扇づくり体験、若手作家が集まり魅力発信・展示を行う「奈良’s者ノ仕事場」を行い、モノづくりに触れていただく機会を増やしています。

突き彫りの様子
体験の様子
展示会の様子

③ 伝統だから残ってきたのではなく、いいものだから残ってきた

 奈良団扇は奈良県の伝統工芸品に指定されていますが、伝統だから守られるのではく、皆様に必要とされるから残るよう日々取り組んでいます。「なぜいいのか、どんな人がどんな工程で作っているのか伝える、見せること」も大切だと考え情報発信をしています。また、塗りや彫り、いろんな工芸の技術を取り入れたり、外出時に持ち歩くことができるファッションアイテムやコーディネートの一部として使っていただける団扇の開発も進めていきたいと考えています。良いものとして残っていけるよう、これからも新しいことにチャレンジしていきたい。

突き彫り後の模様
奈良吉野杉で作った団扇
趣のある白色の団扇
池田含香堂
奈良市角振町16
創業/ー
業種/奈良団扇の製造・販売
URL/https://www.narauchiwa.com/